3、原稿の修正


グレースケール300dpiで読み込んだこの原稿で

原稿修正の一連の作業をご紹介します。

 

全ての作業前にはデータのバックアップを取っておくように!!

 

原稿のヤケや自動調整でベタは薄く、白い部分はグレーです。このままでは商用としてはとても使えません。

 

コレを一見二階調の原稿っぽくなるまで修正します。

一枚修正出来たら、その手順をフォトショップのアクションに登録すれば、本1冊丸ごと、同じ作業を自動でやってくれます。

(アクションってなに?って人はググれカス!って言われる前に自分で調べよう!!作業を録画ボタン押すだけで覚えてくれて、再生ボタンで同じ作業を自動でやってくれる便利機能だ!)

 

本ごとにダメージが違うので、1冊ごとにアクションのパラメータは調整してください。

まずは、このぼんやりとしたグレー画像をシャキッとさせます。

フォトショップを起動して画像を取り込んだら、

 

上部メニューより

イメージ>色調補正>レベル補正

レベル補正の調整ゲージを出します。

 

これで調整するだけでかなり綺麗になります。

簡単に説明するとこのメータの山。

右端のでかい山が白い所にあるグレーのノイズです。

左の山と中間が黒い線画と思ってください。

 

下に3つあるゲージを触って原稿を綺麗にします。

3つのゲージの幅が狭くなるほど二階調にちかくなります。近づけすぎるとカリカリのボソボソの絵になります。

 

この3つのゲージの調整はあなたの好み、感覚でOKです。

私のやりかたは、

まず、右の山のノイズを全部消すために、右の山のふもとに白のゲージ(右端白い△)を持っていきます

次にペンの黒を表す左の山のふもとに黒のゲージ(左端の黒い▲)を持っていきます。

 

真ん中の灰色の△で全体のトーンの濃さを調整します。10%トーンが飛ばない、ベタが灰色にならない 丁度いい所が見つかります。

 

見つかったら後に他の巻の時の初期値や微調整に使うので入力レベルの数値を3つメモしておきましょう


アクションを作って一気に処理

 

ここまでの作業をアクションに登録して、スキャナで読み込んだデータをまとめたフォルダに適用します。

 

ファイル>スクリプト>イメージプロセッサ>画像フォルダの指定>保存フォルダの指定>画質指定>環境設定のアクションを実行で作ったアクション指定>実行

 

そうすると同じ処理をフォルダ丸ごと一気に適用してくれます。

一枚一枚処理しなくていいのです!

 

☆アクションの登録の方法はアクションタブの右上から

新規アクションを選択>名前をつける>上に書いている作業をする(録画されている)>■停止ボタンを押す 以上です。

 

これが出来ないのならパソコン向いてません!全部手作業でやりましょう(゜┐゜)


グレーでぼんやりしていた原稿が綺麗になりました。

でもよく見てください、

上部にヤケのため汚れが残っています。吹き出しの中にもゴミが、スーパービーダマン9巻を表す文字は編集さんのデザインです。スキャンも機械取り込みのため傾いてるのがほとんどです。

 

ここからは手作業でのクリーンナップになります。

 

☆傾き修正

☆編集部の手の入っている所の消去、修正

☆ゴミ取り

薄くなったトーンの所へのグレーの流し込み

 

これ全ページに手作業でやります。

 

フォトショップでもクリスタでも出来ますが

傾き修正、消去ゴミ取りはフォトショ、

書き足しや修正はクリスタが便利でした。

 

なに?めんどくさい??

ぼかぁこれに加え500ページ以上に描かれている 某キャラクターのビーダマンを全部書き換えるという作業をこなしております。泣き言は聞かぬ!聞こえぬ!!一度決めたら最後までやるのだ!!


傾き修正

 

グリッド表示してグリッドに合わせて傾きを垂直に調整します。

(windows版フォトショだとCtrl+@)(mac版フォトショだとコマンド+@)で表示 グリッドの細かさも設定で調整出来ます、細かさはお好みで。

 

(赤)全画面選択してから画像回転で傾きをグリッドに会わせます。

 

(青)上下の空間はほぼ同じです。

本によりますが、下に偏ってるのがありますが、下にずれてる分にはかまいません。

 

(緑)コミックからの読み込みの都合上、のどの部分は若干狭くなります。

読み込みの時、ずれてのどがほとんど無くなってる場合があるので、その時は他のページに合わせて全体の位置を調整しましょう。

端末で1ページ表示した時、片寄ってる事による違和感はほとんどありません。

個人的には見開き表示した時に真ん中が大きくポカーンと空いてしまう方が違和感がありました。まぁ、ここらへんの調整もお好みです。

 

 


ゴミ取り

 

オレンジ色で囲っている部分にゴミが残っています。

上はヤケによるノイズ、その他はゴミやノイズです。コマの中は手でホワイトをかけるようにひとつずつ消していきます。

ぼんやりしたグレーが残ってる場合はその部分をおおかまに選択してから色域選択でそのグレーを選択して消去しましょう。

 

一枚一枚目を皿のようにして絵の中の汚れを消してください。ここでの頑張りが満足いく本に出来るかどうかの境目です。

コマの外は赤で示しているように、四角の選択ツールで一気に消去しましょう。コマの間とかは消しゴムツールでシフト押しながらやれば直線的に消しゴムがかかります。

 

このページは汚れていないなと、この手間を省くと、後でゴミを発見してやり直す羽目になるので、全ページやることをお勧めします。

 

枠の外の編集の手が入ってる所もこの時一緒に消してしまいます。

 

ノンブル(ページを表す数字)は残します。

飛んでしまったアミトーン部分へのグレーの流し込み。

 

画像をクリーンナップした後は薄いトーンは飛んでしまう場合があります。

そういう部分にはそこに貼ったトーンと同じ位の濃さのグレーを乗せる事で解決します。

 

グレーで塗りつぶし

作業は乗算レイヤーを一枚足して(失敗時消せるように)、塗りつぶしツール、許容量35くらい(お好み)、アンチエイリアスON 近接ON 全てのレイヤーONで塗りつぶし範囲が拡張するように設定します

 

要するにアプリによって設定が違いますが、塗りつぶしの時に少し拡張して塗り残しが無くなる設定で塗りつぶしてください。

 

絶対にコレを二値化やトーンレイヤーにしてはいけません線数が合わないので酷い汚れやモアレになってしまいます。

元々印刷ではグレー表示が出来ないのでアミを使っていたと思えばこの修正で十分なのです。グレーが目標範囲以外にもれるのに注意。保存する時は統合してjpegです。


4 出版社の手の入っている所の作り直し

 

編集部の手の入っている所の消去、修正

上にある原稿を参考に説明します。

 

まずは1枚目表紙タイトルロゴはデザイナーさんの権利が発生しています、○○コミックのキャラクターや一連のコミックスシリーズ名も使えません、出版社発注の塗りや背景が別の人の手による物も駄目です。表紙やタイトルロゴは全て自分て作り替えましょう。関係各社の©の表示は話し合いで取り扱いが決まります。

 

2枚目 中表紙、タイトルロゴ巻数を表す数字にデザイナーさんの手が加わってます。下には掲載誌の情報が載っています。できれば名前も含めて削除、もしくは書き換えましょう

 

3枚目 人物紹介。これは全てアウトです。全部出版者側で作られています。すべて書き換えましょう。手を抜こうとページを抜くとノンブル(ページを表す数字)が狂うので余計面倒になります。ページを抜かずに絵を足したり、しっかり人物紹介を書き足した方がいいです。

 

4枚目 もくじ ここもデザイナーさんの手が入っています。全部アウトです。あらすじも編集さんの文章ですので使えません。自分で作り直しましょう

 

5枚目6枚目 本文中に加えられたデザイン、5枚目の下のキャラは人物だけならまだおおめにみてもらえますが、その周りのデザインにデザイナーさんの手が加わってます。よってこの部分は削除した方が賢明です。代わりに自作のロゴ、もしくは絵を入れましょう。

6枚目は比較用でキャラをコピペしただけですので問題はないと思います。しかし、上の巻数の表示は編集さんの手が入ってるので消した方がいいです。

 

7枚目 奥付 これは発行者を書いてますので、これをそのまま使っては絶対いけません!

そのまま出すと、責任を関係ない昔の出版社に押しつけることになります。

個人出版では全ての責任は個人で受け付けなければなりません。

全部削除して作り直しましょう奥付には発行者と連絡先を必ず入れること。

 

8枚目 宣伝のページ 最後に載ってることが多いので見開きに影響のない偶数の枚数ならそのまま間引きしてかまいません。しかし奥付の下のノンブルは書き換えてください。ページを残す場合は内容全部削除、もしくはオマケページにして何か描いてください。

 

9枚目 裏表紙 ここにも元のキャラの後ろのデザインや出版社の情報が山ほど載っているので(ボカシの部分参照)全部作り直してください。

 

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